2017-04

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バーチカル ウェイ

フリークライミングのようなスポーツをやっていると、自助努力とか自己責任ということをよく考える。例えば、かなり高い地点まで登って力が尽きてしまいそうなとき。ホールドを握る手は震え、わずかな突起を支えに立ちつくす足先は頼りない。ロープとビレイヤーが自分を支えてくれていると分かっていても、墜落という事態は、人間にとってどこか根源的な恐怖を呼び覚ますものらしい。進むか、敗退するか。それを決めるのにも勇気が要ったりする。もう少し進めば楽になるかも知れないと思いつつ先に進めない時がある。ロープを握るビレイヤーに大声で「テンション!」と言えば支えてくれるのだが、ランナウトしてロープをクリップする瞬間は予期せぬ大きな墜落が待ちかまえているかも知れない。そう思った瞬間、(私の友人が言うところの)「恐怖と緊張で頭が真っ白になる」ことだってある。たかだか15メートルほどの人工壁でさえ、リードクライミング(登りつつ順次支点にロープをかけていく方法)はそういう恐怖を味わうのだから、これがゲレンデで30メートルの壁だったら恐怖が増すのは容易に想像がつくだろう。ならばなぜ登るのかと問われたら、面白いからとしか答えようがない。そして、その面白みの中には、恐怖という成分が多分に混じっている。登攀時に味わう苦痛と疲労と恐怖。それが、ルートを克服したとき、悦びと昂揚に変わる。面白いと思ってしまう。この感情を味わってしまうから、やめられなくなるようだ。

爾(なんじ)、脚あり、爾、歩むべし、爾、手あり、爾、捉(と)るべしである。幸田露伴 努力論

自分の手と、脚に、全てがかかってくるのだ。恐怖を背負い、その恐怖を面白いと思いつつ登る。

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