2017-11

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ネットのものがたり

老人と宇宙 (ハヤカワ文庫 SF ス 17-1)老人と宇宙 (ハヤカワ文庫 SF ス 17-1)
(2007/02)
ジョン・スコルジー

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解説を読むと、この人は映画評論などを手がけていて、いわゆるブロガーでもあったそうだ。そしてこの作品を自ブログで集中連載したらしい。事前のマーケティングも周到に行い、売るつもりで書いたら実際に売れた。すごい。

ネタバレしないように冒頭部分に触れると、恒星間旅行が現実になり、コロニー連合と呼ばれる太陽系外惑星への植民地が形成された未来。コロニー防衛軍(CDF)はコロニーを地球外生命体の侵攻から守る役割を果たしている。その防衛軍に入れるのは75歳以上の老人のみ。正式に登録されると、地球では法律上「死亡した」と見なされる。彼らはその老体に鞭を打って、CDFへと旅立つ。その旅の途中で、CDFの圧倒的な科学力(地球の技術では到底達成できないそれら)を見せつけられ、なぜ75歳以上の人間が必要なのか、彼らが戦士として活躍するためにどのような技術が使われるのかなど、ディテールが明らかになってゆく。

日本語訳のせいかもしれないが、センテンスが短い。テンポ良く進むと言えばそうなのだけれどコッテリとした描写があまりない。このあたりは、元々がブログで連載として読まれることを意識したから、そのエントリ単位で一読できるような作り方なのかなぁとも思った。

この点一時話題になったケータイ小説と、このような作品の、近似した部分なのかも知れない。ケータイ小説の場合は、展開が唐突であったり無理があったりして、読んでみたら「なんだこれは」という批判も多かったが、ネットにおける物語表現という点から見ると、それほど変なことではないように思える。なぜなら、それはある種の「語り」として機能するからだ。繰り返しがあり、飛躍があり、統一感がないように見えるが、実はそれが「語りの面白さ」だとわかれば。

この作品の面白さは、そういう語りが、ちりばめられる(短縮された)情景描写と並行しながら、どんどん進んでいくところにある。

ブログの面白さの一面が、ある種の「語り」構造にあるというのは、まちがいないだろう。ブロガーの、リアルな生活やその時のオピニオンとしてか、構想された物語のものか、という違いがあるだけなのかもしれない。

だからか、この本を文庫本として手にとって読み始めたとき、ある種のいらつきを感じた。読むテンポと展開が、どうも合わない。物語世界への理解と傾倒にいたるストーリーテリングの発展が、私にとっては、もたつきを感じた。印刷媒体を前提とした技法としての表現には足りず、かといって奔放な語り口でもない。

もっとぎゅっと、濃縮した感があれば、読むテンポと合ったのかも知れない。しかしこれも、そんなに構えずに、PCのまえでのんびりとエントリを流し読むような感覚だったら、そんなに違和感がないのかも知れない。

ネットで小説を書く、ブログで物語を書く・読むという行為と、(PC環境+テキストエディタが主流とはいえ)印刷媒体に書く意識というのは、やはりどこかちがうんだろうなぁと感じた。

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