2017-05

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旅の終わり

パワー (西のはての年代記 3)パワー (西のはての年代記 3)
(2008/08/23)
アーシュラ・K・ル=グウィン

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(このさきはシリーズのあらすじ以上の内容に触れています)



このエントリは与えられし、ちからを参照しています。

☆☆

北の茫漠とした荒れ地、南の静謐な図書館、優しさと欺瞞に満ちた都市、自由という名の暴力を満たした森、静かに時が流れる貧しい沼地、そして繰り返される祈り。年代記は完結した。

旅が終わったという実感がある。第一巻から第三巻まで、たくさんの道を歩いた。たくさんの人と出会い、たくさんの悲劇と希望を見てきた。各巻とも、その主人公と舞台は違う。しかし、「西のはて」という地域は、ある存在が、舞台を一つにまとめている。繰り返される祈りだ。優しきエンニュ、聞こえないほうの耳で願い事を聞く運の神、さまざまな神が、西のはての世界に息づいている。それは主人公の心を癒す廊下の祭神であり、街の守り神であり、心強き旅の伴侶である。

西のはてにはたくさんの、神がいる。暴力と生活苦に覆われた主人公たちや周囲の人びとは、朝な夕な、その神々の祠に詣で、小さなネコの頭をかたどった優しきエンニュ=メーを握りしめる。

もうひとつの存在が、物語を作る「創り人(つくりびと)」オレックである。第一巻の主人公であり、自己のギフトを得たオレックは、旅に出た。オレックは妻グライとともに、そして妻の相棒であるハーフライオンとともに、世界を巡る。その旅はあまり描写されない。噂や伝聞、偉大な創り人としての名声という形で、旅と行為が示唆される事が多い。

その旅のなかで、オレックはたくさんの書物を研究し、たくさんの物語を作る。彼の存在は、西のはてに知れ渡る。第二巻、第三巻の主人公は、オレックに支えられる。しかし多くの場合、直接にではない。オレックの旅立ちから何年も経て、第二巻、第三巻の主人公たちはかれの創った詩に出会う。そして、彼の「言葉」に、勇気づけられ、変貌していく。

オレックは、西のはてに広がる暴力と貧困と無知に対峙するものである。オレックの言葉こそが、ギフトであり、ヴォイスであり、パワーである。

西のはての年代記は、三巻で終了する。まだまだ続きを読みたいという、渇望のような願いを抱くが、今のところ続編は出ないらしい。

分厚い三冊の「世界」は、大切に、本棚の真ん中に置いておくことにする。いつかまた旅に出るために。

● COMMENT FORM ●

旅のはじまり

書店で三巻揃っているのをみかけました。田舎ではほとんど[お取り寄せ]なので珍しいことです。
第一巻の「ギフト」から順を追って本の厚さが増していることに少々戸惑い気味。それだけ「ギフト」のテーマが重く深く広がっているのかなと感じました。

わたしの旅はまだ始まっていません。
最初の一冊を手にそわそわしているところです。読みきれるか…(汗)

Re: 旅のはじまり

きむろみさん。

だーいじょぶ。目の前の山がでっかいほど、登ったときに嬉しくなるんだよ! がんば! (←島崎三歩ふうに)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B3_%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E5%B1%B1


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